厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定【令和2年9月から】

日本年金機構からの「事業主の皆様へ」ですでにご案内されているかと思いますが9月1日から厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級が新たに追加されます。
(第31級 62万円 → 第32級 65万円

9月の報酬月額が635,000円以上の場合、該当となり、保険料も引き上げられます。別途手続きの必要はありませんが該当する方がいる場合は、9月下旬以降、年金機構からお知らせする予定のようです。
(9月分から改定されるので、翌月の10月支給分の給与から変更となります。)

《改定前》

月額等級 標準報酬月額 報酬月額
(旧)第31級 620,000円 605,000円以上

 

《改定後》

月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第31級 620,000円 605,000円以上635,000円未満
(新)第32級 650,000円 635,000円以上

 

事業主の皆様へ(令和2年7月号)
https://finexus.jp/wp-content/uploads/2020/09/jigyounushioshirase202007.pdf

 

また、協会けんぽのホームページに9月からの各都道府県の健康保険、介護保険、厚生年金保険の料額表が公開されていますので、あわせてご確認ください。
(平成16年から行われていた厚生年金保険料の引き上げは平成29年で終了しています。)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/r02/r2ryougakuhyou9gatukara/

 

余談ですがコロナ禍の中、企業業績も悪化し、報酬も下がっている人も多い状況でなぜ、この時期に保険料を上げるようなことをするんだ!とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんがこの改正は、厚生年金保険法の下記の条文に根拠があります。

 

【厚生年金保険法】
第二十条 2
毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、健康保険法第四十条第一項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

 

3/31時点の全被保険者の標準報酬月額を平均した2倍が最高等級(62万円)を超えて、「その状態が継続すると認められるとき」は、最高等級を加えることができる、ことになっています。
近年、報酬が上昇傾向にあり、3/31の時点では、まだコロナの影響も小さかったため、最高等級を加えることが出来た、ということになりますが、「その状態が継続すると認められるとき」って、特例の随時改定(月変)制度や社会保険料の猶予制度まで出しといて、それはないだろう、と個人的に思ってしまいますがいかがでしょうか。

 

【コロナ特例随時改定①】1か月でも月額変更可能【休業手当可】

 

【コロナ特例】社会保険料、労働保険料の納付猶予【YouTubeあり】