【新型コロナ】ワクチン接種休暇の検討ポイントと注意点

新型コロナウィルス感染症のワクチンの接種に向けて、ワクチン接種休暇を導入する企業が増えています。働く人が安心して接種できるような環境を整えるように国も経済界に働きかける動きを見せています。
そこで、ワクチン接種休暇の検討ポイントと制度の注意点について、考えてみます。
(本記事は、2021年5月11日執筆時点の情報にもとづいて記載していますが変更する可能性がありますので、ご了承ください。)

ワクチン接種の概要

 

まず、新型コロナウィルス感染症のワクチン接種の概要について、みていきましょう。

 

【費用】
無料(全額公費)

 

【接種が受けられる時期】
令和3年2月17日から令和4年2月末まで(予定)

 

【手続き】
おおまかには下記のような手続きとなります。
・住民票住所の市区町村から接種券(クーポン)が郵送
・ワクチンを接種する医療機関や接種会場を探す
・電話やインターネットで予約
・接種券(クーポン)と本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)を持参し、接種する

 

【接種場所】
原則として、住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や接種会場

 

【接種回数】
2回(ファイザー社のワクチンでは、通常、1回目の接種から3週間後に2回目の接種をします。)

 

【接種を受けるための同意】
新型コロナワクチンの接種は、強制ではありません。しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。

 

【副反応】
注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等がみられることがあります。まれな頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生します。

 

【予防接種健康被害救済制度】
一般的に、ワクチン接種では、副反応による健康被害(病気になったり障害が残ったりすること)が、極めて稀ではあるものの、なくすことができないことから、救済制度が設けられています。予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

 

休暇の対応例

 

企業の対応として、休暇については、特に制度を導入する義務はなく、また、休暇を規定する際に有給であっても、無給であってもかまいません。平日だけでなく、土・日曜日にも接種できそうですが混雑が予想されます。そのため、国としては、平日の接種が可能となるように休暇制度を企業に働きかけています。

企業としては、下記のような対応が考えられます。

⓪特に対応なし
①年次有給休暇を利用する
②傷病休暇や失効した年休制度等を利用する
③特別休暇を利用する
④新型コロナウィルスのワクチン接種用の特別休暇を創設する

あくまでも個人の自由意思により、接種するため、接種の時間はノーワークノーペイの原則により、賃金カットをするか、年次有給休暇の申請時に休暇(時間単位年休の場合は時間)を認めるという対応がまず挙げられます。(⓪、①)年次有給休暇申請の際は、取得を拒否するのは難しいでしょう。
また、すでに傷病休暇や失効した年休制度等もあれば、そちらを利用できるようにすることも考えられます。(②)
さらに企業としては、取得をしやすいように慶弔やボランティア、リフレッシュ時に利用可能な特別休暇に追加するという対応も検討可能ではないでしょうか。(③)

ここでは、④のワクチン接種用の特別休暇を創設する対応について、考えてみたいと思います。

【対象者】
同一労働同一賃金の観点からも正社員だけでなく、パート、アルバイト、嘱託社員等を含めた全従業員を対象とすべきでしょう。

<例>
正社員、契約社員、パート、アルバイト、嘱託社員

 

【休暇日数】
2日の接種となるので、各接種日の2日とします。
加えて、副反応があった場合は、接種日の翌日以降に取得可能とするケースもあるようですが副反応かどうかは判断しにくいため、日数を限定することも検討した方がよさそうです。

<例>
接種日に特別有給休暇を1日取得可能とする。
接種日の翌日以降に副反応があり、就業が困難な場合は、さらに1日取得可能とする。
2回目の接種も同様とする。

 

【対象期間】
はじまり(始期)は、準備が整い次第とし、おわり(終期)は、現状予定となっている2022年2月28日までとし、延長となった場合、対象期間も延ばすという柔軟な対応も可能でしょう。

<例>
2021年〇月〇日~2022年2月28日(予定)
※政府が定める新型コロナウイルスワクチン接種実施期間に準ずる。

 

【その他】
ワクチン接種の順位は、下記のようになりますが高齢の方の場合は、付き添いが必要なケースもあり得ます。三井倉庫ホールディングス株式会社では、従業員だけでなく、従業員の家族の接種にも特別休暇を適用していて、参考になります。

【接種順位】
(1)医療従事者等
(2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
(3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
(4)それ以外の方

◆新型コロナウイルスワクチン接種時の勤怠取扱いについて(三井倉庫ホールディングス株式会社)
https://www.mitsui-soko.com/company/group/msc/news/20210428

 

注意点

 

繰り返しになりますがワクチン接種については、ワクチン接種をした方が感染リスクが低くなるという考えから、企業側から接種を奨励することもあるかもしれませんが副反応の可能性もあり、強制はできません。あくまでも個人の自由意思で接種してもらうことを考慮して、対応しましょう。

また、ワクチン接種をしない従業員に対して、差別やいじめ、不利益な取り扱い等はあってはならないものです。
ワクチン接種の休暇の案内時などに差別等の禁止については、周知することも検討しましょう。
(政府でも差別防止の指針を検討しているようです。)

最後に労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合の労災保険給付の対象となるか、については、厚生労働省のホームページに下記のように掲載されていますので、ご確認ください。

労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか。

ワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはなりません

一方、医療従事者等に係るワクチン接種については、業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であることから、今般のワクチン接種において接種順位の上位に位置付けられています。
したがって、医療従事者等に係るワクチン接種は、労働者の自由意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務行為に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります
なお、高齢者施設等の従事者に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとなります。

◆新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(7労災補償 問9から転載)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

 

また、参考までに下記に厚生労働省の関連ページのリンクを貼っておきます。

◆接種についてのお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html

◆新型コロナワクチンQ&A
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/

◆コロナワクチンナビ
https://v-sys.mhlw.go.jp/

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