【2022年10月から】育休中の保険料免除が改正【賞与は1月超の休業が対象に】

6/4参議院本会議で改正健康保険法が審議され、成立しました。

健康保険の実務に影響が大きい点については、ラインを引いています。

1.全ての世代の安心を構築するための給付と負担の見直し

(1)後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し
【高齢者の医療の確保に関する法律】
後期高齢者医療の被保険者のうち、現役並み所得者以外の被保険者であって、一定所得以上(※)であるものについて、窓口負担割合を2割とする。
※課税所得が28万円以上かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)。政令で規定。
※長期頻回受診患者等への配慮措置として、外来受診において、施行後3年間、1ヶ月の負担増を最大でも3,000円とする措置については、政令で規定。

(2)傷病手当金の支給期間の通算化 【健康保険法、船員保険法】
傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う。

(3)任意継続被保険者制度の見直し 【健康保険法、船員保険法】
任意継続被保険者の保険料の算定基礎の見直しや、被保険者からの申請による資格喪失を可能とする。

 

2.子ども・子育て支援の拡充

(1)育児休業中の保険料の免除要件の見直し
【健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法等】
短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとする。

(2)子どもに係る国民健康保険料等の均等割額の減額措置の導入
【国民健康保険法、地方税法】
国民健康保険の保険料(税)について、子ども(未就学児)に係る被保険者均等割額を減額し、その減額相当額を公費で支援する制度を創設する。

 

3.生涯現役で活躍できる社会づくりの推進(予防・健康づくりの強化)

○保健事業における健診情報等の活用促進
【健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律 等】
① 労働安全衛生法等による健診の情報を保険者が保健事業で活用できるよう、事業者に対し被保険者等の健診情報を求めることを可能とする。
② 健康保険組合等が保存する特定健診等の情報を後期高齢者医療広域連合へ引き継ぐこと等を可能とする。

 

4.その他

(1)国民健康保険の財政安定化基金を、都道府県が国民健康保険事業費納付金の著しい上昇抑制等のために充てることを可能とする。
【国民健康保険法】

(2)都道府県国民健康保険運営方針について、保険料の水準の平準化や財政の均衡に関して記載事項に位置付ける。
【国民健康保険法】

(3)医療扶助においてオンライン資格確認を導入する。
【生活保護法、社会保険診療報酬支払基金法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律】 等

 

施行期日

令和4年1月1日(ただし、1(1)は令和4年10月1日から令和5年3月1日までの間において政令で定める日、2(1)は令和4年10月1日、2(2)及び4(1)は令和4年4月1日、 4(2)は令和6年4月1日、4(3)は一部を除き公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日)

 

育児休業期間中の保険料免除については、今まで月末を含んでいるか、否かでだけで判定されてしまいましたが令和4年10月以降は、2週間以上の育児休業については、月末を含んでいなくても、保険料免除の対象となります。また、賞与の保険料については、1月を超える育児休業を取得しないと免除の対象となりません。(給与については、月末の1日のみの休業でも保険料免除の対象であることは変わりません。)

 

 

◆全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf