令和4年4月以降、雇用調整助成金等の申請方法にインパクトのある変更※がありそうです。
※記事作成時(3/21)では、「予定」でしたが3/22夜に厚生労働省から正式にリーフレットが公表されました。
◆雇用調整助成金等の申請内容をより適正に確認します
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000915688.pdf
令和4年3月18日(金)に労働政策審議会が開催され、その資料が公表されました。
資料の中に令和4年4月以降の「雇用調整助成金等の申請内容をより適正に確認します」というリーフレットがあります。まだ、決定はしていませんが決定される可能性は高いとみていて、事前に確認した方がよいと考えています。
そもそも雇用調整助成金等は、新型コロナウィルス感染という未曽有の事態に対し、支給率、申請期間、申請方法の簡略化など様々な特例を設けてきました。
厚生労働省としては、雇用調整助成金等の特例措置の縮減を予定しており、すでに実施もされていますが今後も少しずつ実施されていくことが予想されます。その中に申請方法の変更も含まれるでしょう。
念のため、令和4年度4月以降の特例措置等については、1~3月の内容が継続する予定が以下のように公表されていますので、あわせてご確認ください。
◆令和4年4月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/r404cohotokurei_00001.html
それでは、リーフレットの中身を詳しく解説します。
①業況特例の業況を毎回確認
判定基礎期間(給与締め)ごとに業況特例の確認を行うことになります。
業況特例は、判定基礎期間の初日の月、その前月、その前々月の生産指標(主に売上)の合計と前年か前々年か3年前の生産指標の同期の合計を比較して、30%以上減少した場合に該当します。
令和4年度1月以降の業況特例については、下記の動画で解説しています。
必要に応じて、ご覧いただけると幸いです。
判定基礎期間ごとに業況特例に該当しなければ、原則的な措置(地域特例に該当すれば、地域特例)に該当します。
適用は、令和4年4月1日以降に初日がある判定基礎期間の申請からとなります。
②令和3年度賃金を使用
今まで雇用調整助成金等の特例措置として、平均賃金はコロナ前の賃金(令和元年度の労働保険料の確定保険料申告に使用した賃金(平成31年4月~令和2年3月)※)を使用していましたが最新の賃金を使用するように見直されます。
※申請時期によっては、平成30年度の確定保険料申告に使用した賃金
令和3年度で100%の休業手当を支給していない場合(休業手当は労働保険の計算対象の賃金に該当)や時間外手当が少なくなっていた場合などは、最新の賃金(令和3年4月~令和4年3月)がコロナ前の賃金より低額となると助成金の額も低額となる可能性があります。
【必要書類】
受付印のある労働保険確定保険料申告書(令和3年度)写し
(事務組合委託の場合は、「労保料算定基礎賃金等の報告」(こちらは受付印はありません))
【適用】
令和3年度確定保険料申告書の受理以降の最初の申請から
(所得税の領収書を使用していた場合は、令和4年6月1日以降の最初の申請から)
③確認書類(労働者、休業手当)
下記の対象事業主に該当する場合は、確認書類の提出をお願いし、確認書類等の提出がなく、実態の確認ができない場合、不支給となる可能性がある、としています。
「判定基礎期間の初日において雇用保険の適用が1年未満」の事業主は該当があまりないかもしれませんが労災保険のみの適用事業主が緊急雇用安定助成金を申請する際は判定基礎期間ごとに①②の書類が必要となります。特に給与を振込ではなく、手渡し(現金払い)している場合は、「労働者の直筆の氏名」も必要となりますので、注意しましょう。
また、対象事業主に該当しなくても、「審査段階で以下書類の提出をお願いすることがあります 。」と記載されていますので、書類の提出を依頼されたときのために事前に準備しておく方がよいでしょう。
最後に①で業況特例に該当しなくなったり、②最新の賃金を使用することにより、助成金の受給額が少なくなる可能性があります。「申請内容の適正確認」が決定されたら、事前に確認するのがよいでしょう。