【新型コロナウィルス】雇用調整助成金の拡充案とQ&A

新型コロナウイルスの影響を受けて、特例措置の拡充案を発表しました。
拡充案の概要は、下記の通りですが、「一般的な場合」と
「緊急事態宣言を発出して 活動の自粛を要請している地域 (現時点では北海道のみ)」を
分けています。今後のさらなる発表に注意し、対応のご参考としてください。

 

雇用調整助成金

経済上の由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した 費用を助成する制度
(大企業:1/2 中小企業:2/3)

〇雇用調整助成金の対象事業主が行う、感染症拡大防止に資する、一部従業員の休業や一斉休業、濃厚接触者に命 令した休業等も対象となることを明確化。
〇更に、自治体が緊急事態宣言を発出して活動の自粛を要請している地域の事業主に対しては、特例的に、生産指標 が低下したものとみなし、また正規・非正規を問わず対象とした上で、助成率を引上げ。

 

第1弾(2月14日~) 拡充案
一般的な場合 緊急事態宣言を発出して 活動の自粛を要請している地域
(現時点では北海道のみ)
日中間の人の往来の急減により影響を受け、中国 関係の売上高等が全売上高等の一定割合以上である事業主 ⇒中国人観光客向け観光関連産業等 新型コロナウイルス感染 症の影響を受ける事業主
⇒全業種
(2月28日に先行拡充済)
上記の地域に所在する事業主
生産指標要件緩和
(3か月10%以上低下 ⇒1か月10%以上低下)
同左 生産指標要件
満たすものとして扱う
被保険者が対象 同左 非正規を含めた雇用者
助成率  2/3(中小)、1/2(大企業) 同左 4/5(中小)、2/3(大企業)
計画届の事後提出を認める
(1月24日~3月31日まで)
計画届の事後提出を認める
(1月24日~5月31日まで)
1年のクーリング期間が必要 クーリング期間の撤廃
6か月以上の被保険者期間が必要 被保険者期間要件の撤廃

 

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A

 

問1 そもそも雇用調整助成金とはどのようなものでしょうか。

答1 〇景気の後退等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を
行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向
(以下、「休業等」といいます。)を行い、労働者の雇用を維持した場合に、
休業手当、賃金等の一部を助成するものです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

 

問2 今回の特例措置の趣旨・目的について教えてください。
また、どのような特例があるのでしょうか。

答2 〇今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動が急激に縮小する
事業所が生じています。

〇また、新型コロナウイルス感染症による影響が広範囲にわたり、長期化することが
懸念されます。このため、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業活動の縮小を
余儀なくされた事業主を対象に、雇用調整助成金の支給要件を緩和する特例措置を
設けました。このことにより、通常よりも幅広く、労働者の雇用の維持を行った
事業主が、この助成金を受給できるようにしています。

 

○ 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例は以下のとおり実施しています。

① 令和2年1月24日以降の休業等計画届の提出を可能とします。
詳細は、問5を参照してください

② 生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮します。
詳細は、問6を参照してください

③ 令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象
とします。
詳細は、問7を参照してください

④ 最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とします。
詳細は、問8を参照してください

 

問3  2 月 28 日の特例措置の対象事業主の範囲の拡大について教えてください。

答3 ○ 今回特例措置の対象を「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」に
拡大しました。

※ 当初は、「日中間の人の往来の急減の影響を受け、中国(人)関係の売上高や
客数、件数が全売上高等の一定割合以上である事業主」としておりました。

○ 今回の拡大により、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業の事業主の
方や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象と
なります。

 

問4 計画届の事後提出について内容を教えてください。

答4 ○ 令和2年 1 月 24 日以降に開始した休業等について、令和2年5月 31 日まで
は事後の計画届提出が可能です。

○ 通常は、助成対象となる休業等を行うに当たり、事前に休業等の計画届を労働局又は
ハローワークに提出する必要があります。

○ 今回の特例措置では、令和2年1月 24 日以降に初回の休業等を行う計画届の提出
について、令和2年5月 31 日までに提出いただければ、休業前に提出があったものと
して取り扱うこととします。

 

問5生産指標の要件緩和について教えてください。

答5 ○ 生産指標(※)の確認期間を3か月から1か月に短縮します。

(※)生産指標とは、販売量、売上高等の事業活動を示す指標のことです。

○ 通常は、生産指標の減少(10%以上の低下)を、初回の休業等の届出前の3か月間に
ついて、対前年比で確認しています。

○ 今回の特例措置では、最近1か月の生産指標が、前年同期に比べ 10%以上減少した
場合には、生産指標の支給要件を満たしたものとして取り扱うこととします。

○ また、生産指標は、原則として、初回の休業等計画届を提出する月の前月の対前年比
で確認しますが、事業所設置後1年未満のため、前年に比較できる月が無い場合は、
令和元年 12 月と比較して確認します。

 

問6事業所設置後1年未満の事業主も対象とする特例措置について教えてください。

答6 ○ 令和2年1月 24 日時点で事業所設置後1年未満の事業主についても助成
対象とします。

○ 通常は、生産指標を前年同期と比較できる事業主が対象であり、事業所設置後1年
未満の事業主は前年同期と生産指標を比較できないため支給対象となりません。

○ 今回の特例措置では、令和2年1月 24 日時点で、事業所設置後1年未満の事業主に
ついても助成対象とします。その際、生産指標は、初回の休業等計画届を提出する月の
前月と、令和元年 12 月との1か月分の指標で比較します。
(12 月の生産指標は必要となります)

 

問7雇用量要件の緩和について教えてください。

答7 ○ 最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とします。

○ 通常は、雇用保険被保険者や受け入れている派遣労働者の雇用量の最近3か月の平均
値が、前年同期比で一定程度(※)増加している場合は、助成対象とはなりません。
(※)具体的な要件は以下のとおりです。
・前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上増加している場合
・中小企業事業主の場合は、10%を超えかつ4名以上増加している場合

○ しかし、今回の特例では¥、その要件を撤廃し、最近3か月の雇用量が対前年比で増
加している事業主も対象とします。通常の具体的な要件は、以下のとおりです。

 

問8 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う「経済上の理由」について教えてください。

答8 ○ 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う以下のような経営環境の悪化について
は、経済上の理由に当たり、それによって事業活動が縮小して休業等を行った場合は、
助成対象としています。

(経済上の理由例)
・市民活動が自粛されたことにより、客数が減った。
・風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減った。
個別のお問い合わせにつきましては、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所
(ハローワーク)にご相談ください。

 

問9 特例措置はいつからいつまで適用されるのですか。

答9 ○ 生産指標、1年未満事業主、雇用量要件の特例措置(問6~8)は令和2年1月
24 日以降の休業等について、初回の届出時に事業主が設定する休業等の初日が令和2年
7月 23日のものまで適用されます。

(注)令和2年7月 23 日までに届け出ても、初回の休業等の初日が令和2年7月
24 日以降の休業等の届け出は特例の対象になりませんのでご注意ください。)

○ 休業等の計画届の事後提出を可能とする特例措置(問5)は、令和2年1月 24 日
以降の休業等について、令和2年5月 31 日までに届け出られた休業等の計画まで適用
されます。

○ 詳細は、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)にご相談
ください。

 

問 10 雇用調整助成金の「休業」について教えてください。

答 10 ○ 雇用調整助成金の助成対象となる「休業」とは、所定労働日に従業員である
労働者を休ませるものをいいます。単に事業所が営業を休むことをいうのではありません。

○ このため、従業員を出勤させ、内部の事務処理等の業務をさせている場合は、
「休業」に該当せず、雇用調整助成金の対象とはなりませんのでご注意ください。

 

問 11 雇用調整助成金の「休業」について、全員を休業させなくてはいけないので
しょうか。

答 11 ○ 全員でなく、一部の従業員を休業させる場合も雇用調整助成金の対象になります。

○ 例えば、事業所の半分の従業員を出勤とし、もう半分の従業員を休業させる場合、休
業させた従業員分の休業手当は、雇用調整助成金の対象となります。

○ ただし、終日ではなく、短時間休業を行う場合には、1時間以上、かつ、従業員全員
が一斉に休業する必要があります。

 

問 12 「生産指標」(問6参照)の提出について教えてください。

答 12 ○ 雇用調整助成金を受給する場合には、生産指標(販売量、売上高等の事業活動)の要
件を満たしている必要があり、本特例を利用する場合には、原則、届出の直近の月の生
産指標を提出することが必要です。
○ 現在、支給要件の緩和については、生産指標(問6)と、雇用量の要件緩和の特例(問 8)が
ありますので、詳しくは、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハロー ワーク)
までお問い合わせください。

 

問 13 「事業所設置後1年未満」の「事業所設置」とは、いつの時点を指しますか。

答 13 ○ この「事業所設置」とは、雇用保険適用事業所として設置の届出をした時点を
いいます。

 

問 14 どのような事業所・労働者が雇用調整助成金の助成対象になりますか。

答 14 ○ 雇用調整助成金は雇用保険料を財源としているため、助成対象は、雇用保険
適用事業所、支給対象労働者は、雇用保険被保険者です。

○ その他、休業等を労使協定に基づき実施すること等の要件がありますので、詳しくは、
お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)までお問い合わせください。

 

 

問 15 特例の要件に該当しないと雇用調整助成金を受給できないのですか。

答 15 ○ 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を
余儀なくされた事業主が通常の条件(※)を満たせば、特例の有無にかかわらず支給され
るものです。
(※)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

○今回の特例はその条件を緩和したものです。

 

問 16 雇用調整助成金について、手続をしてから助成金が出るまでの流れを教えて
ください。

答 16 ○ 雇用調整助成金の対象となる休業等については、事前に労使間で休業等に
関する協定を結び、休業等の計画届を所在地管轄の都道府県労働局又は公共職業安定所
(ハローワーク)に提出して、それが受理された後、実施します。

○ 初回の休業等計画届を提出する際に、事業所として雇用調整助成金の対象となるか、
労使協定や計画届の内容に問題がないかを都道府県労働局において確認します。確認に
時間を要する場合がありますので、初回の休業等計画届は、通常、休業開始2週間前
までの提出をお願いしています。

○ 一方、今回の特例では、令和2年 1 月 24 日以降に開始した休業等について、
令和2年3月 31 日までは事後の計画届提出が可能です。

○ 休業等を実施する期間(1~3か月分の賃金締切期間で任意)が終わったら、2か月
以内に助成金の支給申請をしてください。都道府県労働局において、実際の休業等の状
況を確認の上、助成金を支給します。

○ 詳しくは、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)までお問い
合わせください。

 

注意

問14にも記載がありますが、労働者を休ませる前に助成金の要件に「休業等を労使協定に基づき実施すること」がありますので、ご注意ください。