【GビスID】健康保険組合の電子申請が開始【令和2年11月から】

健康保険組合(以下、「健保組合」)の電子申請が令和2年(2020年)11月2日から開始されました。e-Govを利用した申請ではなく、GビスIDを利用することになり、マイナポータル経由による手続きとなります。

電子申請の義務化

はじめに令和2年(2020年)4月から特定法人※は下記の手続きの電子申請が義務化されたことについて説明します。

※特定法人とは、資本金1憶円を超える法人等で適用事業所単位で区分されるものではなく、法人単位で区分されます。詳細は国税庁のホームページをご覧ください。

国税庁HP
https://www.e-tax.nta.go.jp/hojin/gimuka/index.htm

≪電子申請が義務化された手続き≫

健康保険・厚生年金保険
被保険者報酬月額算定基礎届
被保険者報酬月額変更届
被保険者賞与支払届

労働保険
継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する以下の申告書
・年度更新に関する申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出⾦申告書)
・増加概算保険料申告書

雇用保険
被保険者資格取得届
被保険者資格喪失届
被保険者転勤届
⾼年齢雇用継続給付支給申請
育児休業給付支給申請

ただし、注意事項として、

①2020年4月以降に開始される各特定の法人の事業年度から適用されます。

例えば、3月決算の会社は2020年4月から、12月決算の会社は2021年1月から義務化となります。

②社会保険労務士が対象となる法人に代わって手続きを行う場合も含まれるため、委託している社会保険労務士が電子申請していれば、問題ありません。

③以下に該当する場合は、電子申請によらない方法により届出が可能です。
(1)電気通信回線の故障や災害などの理由により、電子申請が困難と認められる場合
(2)労働保険関係手続(保険料申告関係)については、労働保険事務組合に労働保険事務が委託されている場合、単独有期事業を行う場合、年度途中に保険関係が成立した事業において、保険関係が成立した日から50日以内に申告書を提出する場合。

健康保険組合の手続きの電子申請義務化の対応

健保組合の電子申請の義務化は令和2年11月から国が構築するマイナポータルを窓口とすることが決まっていたため、上記③(1)に該当し、11月まで保留となっていたようです。
(ただし、マイナポータルを介さない独自の電子申請システムを構築している健保組合もあります。)

この度、マイナポータルを窓口としたシステムが使用可能となったため、健保組合も電子申請が可能となった(正確には義務化されていたが対応が間に合っていなかったということになりますが)ので、利用してください、ということです。

ただし、注意しなければならないのがマイナポータルへの申請データの送信はご利用の人事・給与システムからAPI(Application Programming Interfaceの略でソフトウェア同士のプログラムを共有するための接点)連携によりG ビズID・パスワードで認証の上、直接マイナポータルに送信します。
ご利用の人事・給与システムにより仕様や操作方法が異なりますので、詳細は、ご利用の人事・給与システム事業者にお問い合わせの上、確認が必要となります。

また、この記事の冒頭で記載しましたとおり、社会保険・労働保険に関する一部の手続を行う場合には、必ず電子申請で行っていただくこととなりましたが、コロナ禍の影響により以下の状況で対応が間に合わない場合には、「電子申請が困難な状況」として義務化を猶予する取扱いとなりました。

・人事、給与システムベンダー側の改修が間に合わない
・事業所側の業務体制が整わない

該当する事業所は、健保組合に連絡をし、環境が整いしだいマイナポータルを利用した電子申請での届出に切り替えを行うことになります。

さらにマイナポータルを利用した電子申請を行うには、法人共通認証基盤(gBizID)が必要とされておりましたが、これに加えて以下の電子証明書が利用可能となりました。

・「公的個人認証サービス」に基づく電子証明書(マイナンバーカード)
・「商業登記に基礎を置く電子認証制度」に基づく電子証明書
・法人認証カードサービスに関わる「商業登記に基礎を置く電子認証制度」を運営する電子認証登記所が作成する電子証明書
・地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)が発行する職責証明
・政府共用認証局が作成する電子証明書
・AOSign サービスに関わる認証局が作成する電子証明書
・TOiNX 電子入札対応認証サービスが作成する電子証明書
・TDB 電子認証局サービス TypeA に関わる認証局が作成する電子証明書
・e-Probatio PS2 サービスが作成する電子証明書
・DIACERT/DIACERT-PLUS サービスに関わる電子認証局が作成する電子証明書
・セコムパスポート for G-ID サービスが作成する電子証明書

よって、社内では、以下の対応を確認・検討が必要となります。

①健保組合の11月以降の対応帳票などを確認
②ご利用の人事・給与システム事業者にマイナポータル経由の電子申請が使用可能か確認
③今後の届出方法の検討
(すべての届出書が電子申請に対応していないため、電子申請と紙の届出の併用や社労士への委託等)

下記、事務連絡に詳細がありますので、興味のある方はご確認ください。
◆健康保険組合に対する社会保険手続に係る電子申請システムの運用開始に併せて実施する特定法人における社会保険手続の電子申請義務化について
https://finexus.jp/wp-content/uploads/2020/11/jimurenraku021027.pdf

 

〈5/31追記〉

厚労省では、人事、給与システムベンダーの電子申請の対応状況について、公表していますので、非常に参考になります。

◆健康保険組合向け電子申請ソフトの対応状況について(令和3年5月14日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/000735946.pdf

義務化レベルで対応、義務化以上で対応、対応なし、とそれぞれ異なる状況です。

もし、これから労務管理ツールの導入をお考えの方は、こういった対応により、ユーザ本位か、法改正の対応が万全か、等検討材料になるのではないでしょうか。