【抜け穴?是正か】男性の育休保険料月末1日でも免除【賞与は?】

育児休業を月末1日だけの取得で1か月分の保険料が免除されることが公平性に欠くため、見直しになる可能性があるようです。

10月28日の共同通信社の記事によると

厚生労働省は28日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会を開き、育児休業を取得する際に社会保険料が免除される要件を見直す考えを示した。月末1日の取得で1カ月分の支払いを免除される「抜け穴」があり、部会の出席者から「公平性の観点から見直しが必要だ」との意見が相次いだ。厚労省は年末までに見直しの詳細を決める方針。月末に縛られない柔軟な取得が促され、男性の育休取得が進む効果も期待する。
現行は、例えば10月初旬に2週間の育休を取得しても社会保険料免除にならないが、10月31日だけ取得した場合、10月1カ月分が免除される。厚労省によると、月単位で保険料を集め、月末時点の被保険者の状況を見て判断するため、こうした運用になるという。

 

要は、月の末日に育児休業しているか、していないかで保険料免除を決定するためです。

男性の育児休業取得率は、令和元年度7.48%(女性は83.0%)と上昇傾向にありますが平成30年度の調査では、1か月未満の取得が81%(女性は0.9%)と休業が短期間となっています。

理由は、業務の性質上取得できないケースや企業風土の問題で取得しにくいというケースもあるかもしれません。

それでは、男性で業務の性質上、1週間しか育児休業できない人がいたとしたら、どうでしょうか。
取得の時期に融通が利き、免除の制度を知っていれば、、月初の1週間ではなく、月末の1週間に取得したい、と考える人が多くなるでしょう。

これが、極端な例で1日しか取得できないとすれば、月の末日にとった方が「お得」と考えられてしまうということです。

次に具体的な金額としては、
例えば、標準報酬月額300,000円の方なら、
健康保険料14,805円 厚生年金保険料27,450円 合計42,255円
(健保料は東京都で40歳未満で計算)
となります。

上記の金額が被保険者だけでなく、事業主分も免除となります。

しかも、賞与分の保険料についても考えてみますと賞与の保険料の場合、賞与の支払い月の末日に育児休業を取得していれば、免除になりますので、例えば、6月と12月が賞与の支給月であれば、6/30、12/31に育休を取得していれば、免除です。
当然、給与と同じように1日でも免除となります。

例えば、賞与 600,000円の方なら、
健康保険料29,610円 厚生年金保険料54,900円 合計84,510円
(健保料は東京都で40歳未満で計算)
となります。

賞与は、給与より高額なケースが多いため、なかなかの破壊力です。上記の給与分とあわせて免除で、事業主分も給与と同様に同額免除です。

記事では、年末までに見直しの詳細を決定する予定のようなので、注目です。

個人的には、次男の出生時は会社勤めしていたので、2週間の育児休業を取得しました。3月中旬に生まれて、退院後に妻の実家に1か月位、お世話になった後の4月の下旬に受け入れの準備(ベビーベッドの設置、ミルクが作れるような配置等)と今後の体制づくりにあてました。今、思えば、あっという間に終わってしまった印象しかありませんが…。

≪参考≫
◆第132回社会保障審議会医療保険部会(ペーパレス)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14424.html

任意継続被保険者、傷病手当金についても、議論されているようですので、興味のある方はご覧ください。

 

≪11/30追記≫
11/26に開かれた社会保障審議会で賞与にかかる保険料は、連続して1か月を超えて取得した場合だけ免除を認め、月々の保険料は、月末を含むかどうかにかかわらず、同じ月に2週間以上取得した場合も免除の対象とし、2週間未満の取得も月末を含んでいる場合は引き続き免除する方針のようです。
今後の法改正に注目しましょう。

◆第135回社会保険審議会医療保険部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15049.html

 

≪12/15追記≫
12/14に開催された「第12回 全世代型社会保障検討会議」の最終報告の要旨は下記のとおりです。

男性の育児休業の取得促進
男性の育児参加を進めるため、今年度から男性国家公務員には1か月以上の育児休業の取得を求めているが、民間企業でも男性の育児休業の取得を促進する。
具体的には、出生直後の休業の取得を促進する新たな枠組みを導入するとともに、本人又は配偶者の妊娠・出産の申出をした個別の労働者に対する休業制度の周知の措置や、研修・相談窓口の設置等の職場環境の整備等について、事業主に義務付けること、男性の育児休業取得率の公表を促進することを検討し、労働政策審議会において結論を取りまとめ、令和3年(2021年)の通常国会に必要な法案の提出を図る。

≪参考≫
◆全世代型社会保障改革の方針(案)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai12/siryou1.pdf

 

 

〈2021/6/5追記〉

6/4健康保険法が審議され、成立しましたので、下記のように改正となります。

 

注意

2022年10月1日以降は、賞与の保険料については、1月を超える育児休業を取得しないと免除の対象とならなくなります。また、月中の2週間以上の育児休業については、月末を含んでいなくても、保険料免除の対象となります。

 

 


参考
【2022年10月から】育休中の保険料免除が改正【賞与は1月超の休業が対象に】社会保険労務士事務所ファインネクサス