【令和5年度】労働保険の年度更新【例年と違う注意点】

 

そろそろ梅雨ですね。

ということで令和5年度の労働保険の年度更新の申告書(緑色の封筒が送られてくる時期となりました。

労働局から発送は5月下旬頃の予定となっていて、年度更新期間は6/1(木)~7/10(月)です。

例年と違う注意点、計算支援ツール、電子申請等についてもまとめています。

 

例年と異なる今年の注意点

手続きとしましては、令和4年度の確定保険料、令和5年度の概算保険料を申告しますが令和4年度の雇用保険料率は、年度の後半の10月から変更がありました。
年度の途中に保険料率が変更となることはあまりなく、さらに令和5年度の雇用保険料率が変更となっているため、例年とは異なり注意が必要です。

 

 

 

◆令和4年度雇用保険料率のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

◆令和5年度雇用保険料率のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf

 

【確定保険料】
一般の事業所であれば、労働者負担と事業主負担の合計が2022年4~9月(上期)は、9.5/1000、2022年10月~2023年3月(下期)は、13.5/1000で計算します。

のちほど、詳細を記載しますが上期と下期でそれぞれ集計した賃金に保険料率を掛けて、確定保険料を計算します。

 

 

【概算保険料】
一般の事業所であれば、労働者負担と事業主負担の合計が2023年4月以降は、15.5/1000で計算します。

(建設業等の二元適用の労災については、上期と下期を分けて計算が不要です。)

 

 

主な作業の流れは下記のようになります。

①確定保険料算定基礎賃金の集計

②概算・確定保険料申告書の作成

③概算・確定保険料申告書の申告

以下、厚生労働省のサイトにある「令和5年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」を参考に説明いたします。

お手元にない場合は、厚生労働省のサイトからダウンロードができます。

 

◆令和5年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/keizoku.html

注意

「申告書の書き方」などで「一元適用」、「二元適用」という記載が出てくるので簡単に説明します。
一般の会社は、賃金に労災保険料率、雇用保険料率を掛けて保険料を計算しますが建設業などは、賃金だけで保険料を計算するわけではないため、一緒(一元)に計算するとかえって複雑になるため、労災保険と雇用保険をそれぞれ別に申告(二元)します。
一般の会社は、「一元適用」と覚えておきましょう。

また、6/2に「申告書の書き方」に訂正がでています。
ツールを見ながら書けば、問題ないと思いますが念のため、ご確認ください。

◆労働保険徴収関係リーフレット一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/gyousei/index.html

確定保険料算定基礎賃金の集計

申告書が郵送される際に白紙の集計表が同封されていますが厚生労働省が下記のサイトからエクセルのツールを用意してくれています。

 

◆主要様式ダウンロードコーナー
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouhoken.html

 

ダウンロードコーナーの中に下記のエクセルがあります。

◆令和4年度確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表/令和4年度 確定保険料算定内訳(エクセル)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001080564.xlsx

 

 

最近の給与計算システム等では、下記のような集計を自動でエクセルもしくはCSVで出力できるものも多いので、活用できます。

 

 

厚生労働省のツールに入力して集計していけば、別シートで申告書の記入イメージで作成されます。
(厚生労働省のツールは、セルを結合しているので、複数のセルをコピーしてそのまま貼り付けることができませんが。)

また、申告記入イメージシートは印刷してもその用紙でそのまま申告できず、転記等が必要となりますので、ご注意ください。

もし、出向があれば、賃金を出向元で計上することになっていますので、出向先の賃金、人数はその分、差引き、出向元の賃金、人数に加えるという修正が必要となります。

 

ツールに入力すれば、下記のように上期(前期)と下期(後期)に分けて集計されます。

 

 

集計表の下に「令和4年度 確定保険料算定内訳」欄がありますので、黄色セルに当てはまる保険料率(左に労災保険、右に雇用保険)を入力します。
(保険料率がわからな場合は、郵送された紙の申告書で確認できます。)

 

 

労災保険は、上期(前期)と下期(後期)の保険料率は同じですが前期、後期の合計額をそれぞれ端数処理(千円未満切捨)して年度の合計額を算出します
(二元適用の労災の場合は、年度の合計額で算出します。)

端数処理によって、年度の合計額と前後期の合計額は、差が生じる可能性がありますがそのように処理することになっているので、深く考えずに進めましょう。

 

②概算・確定保険料申告書の作成

①の集計表で作成したデータがツールの「申告書記入イメージ」シートに反映されます。

黄色の①~⑥の概算保険料欄を入力していきましょう。

労災保険率:自社の保険料率を入力します。わからない場合は、郵送された申告書から転記しましょう。

雇用保険料率:一般の事業所は、15.5、農林水産・清酒製造の事業は、17.5、建設の事業は18.5となります。

申告済概算保険料額:郵送された申告書から転記しましょう。

延納の申請:概算保険料の総額が40万円(労災、雇用保険のどちらか一方のみ成立の場合は20万円)以上の場合は、3回にわけて納付可能です。3回の延納の場合は、「3」、延納しない(できない)場合は、「1」

還付請求:納付と還付をするより、還付できる額があれば、充当(納付と相殺)した方が手続きが減るので、基本的には「充当を優先(残額は還付)」でよいでしょう。

充当意思:これも同様に手続きを簡素化するため、「3:労働保険料及び一般拠出金に充当」がよいでしょう。

⑦欄の労災保険の算定基礎額は、「24,069」千円で一般拠出金の算定基礎額は「24,070」千円となっています。
通常は、同額になりますが一般拠出金の算定基礎額は、上期(前期)と下期(後期)で分けず、1年間の合計額で算出するため、端数処理の関係で「1」千円差が生じることがありますが問題ありません。

 

最下部の「領収済通知書」(納付書)に金額等が反映されます。

 

③概算・確定保険料申告書の申告

申告書の申告方法は、下記の2通りあります。

・金融機関や労働局等で申告
・e-Govで電子申請

郵送された申告書で申告する場合は、ツールの金額等を申告書に転記して、金融機関等で納付します。

 

一方、労働保険の年度更新の申告書は、資本金1憶円以上の法人等については、2020年から電子申請が義務化されています。

◆2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000867797.pdf

 

 

電子申請する場合は、e-Govにログインして、入力していきます。
(GビズIDアカウントがあれば、電子証明書がなくても、e-Govにログインして電子申請が可能です。)

ツールの「(参考)e-Govイメージ」シートを参考とすると入力しやすいです。

e-Gov入力イメージ

 

電子申請には、紙の申告書の右上に記載されたアクセスコード8桁の英数字)が必要となりますので、ご注意ください。

 

◆労働保険年度更新 電子申請操作マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/sinsei/tetuzuki/e-gov/dl/rouho_k01.pdf

 

電子申請に続いて、電子納付する場合は、「申請案件一覧」→「到達番号」→「申請案件状況」→「納付情報」から各金融機関のインターネットバンキング検索画面に進みます。

また、各金融機関のPay-easy(ペイジー)に対応したインターネットバンキング、ATMを利用して電子納付することも可能です。

その際、電子申請送信後に表示される「収納機関番号」、「納付番号」等が必要となりますので、「申請案件状況」画面を印刷しておくのがよいでしょう。

 

口座振替は、通常の納付期限より遅く引き落としされますが今年の全期(第1期)である7/10納付分の申込締切日2/25をすでに過ぎているので、来年もしくは、第2期分からしか対応できません。

詳細は、下記リーフレットをご覧ください。

◆事業主・労働保険事務組合の皆さまへ 労働保険料は口座振替が便利です!
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149893.pdf

 

以上です。同じ納期で社会保険の算定基礎届がありますが年度更新は、すでに3月分の賃金も確定していますので、先に済ませてしまうことをおすすめします。