無料ツール(システム)で36協定の過半数代表者の選出ができるか?

 

そろそろ36協定の労働者の過半数代表を選出する時期ではないでしょうか。

コロナ禍でテレワークや在宅勤務で従業員が一同に集まることが減っている中、労働者代表を挙手などの方法により、選出することが難しくなってきています。

また、電子メールを使っても、集計作業に時間を費やさなければなりません。

 

そこで従業員を集めたオフラインの投票や電子メールではなく、クラウドツール(システム)を使って選出する方法をご紹介します。

ただ、いきなり有料のものを使うのもハードルが高いので、無料でできるものを探しました。

業務効率化の一助になれば、幸いです。

是非ご覧ください。

※自社のセキュリティポリシーやクラウドツールが使用可能かどうか等事前にご確認の上、ご使用ください。

 

過半数代表者の選出方法

まず、ツールの使用の前に法律の定義と実務について、確認いたします。

過半数代表者とは、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者」ですので、今回は、過半数で組織する労働組合がないことを前提にお話します。

過半数代表者の「労働者」とは、

各事業場の全労働者(管理監督者、パート、アルバイト、契約社員、嘱託、休職中の労働者、出向者を含む)を指し、投票権(いわゆる選挙権)を持っている人となります。

労使協定の締結、就業規則の意見聴取など労働者の過半数代表者を選出する目的を明らかにした上で「投票、挙手、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続」によって、選出する必要があります。

ただし、下記については、注意する必要があります。

注意
・過半数代表者に管理監督者はなれない
・過半数代表者を会社は指名してはいけない
親睦会の幹事等を自動的にそのまま過半数代表者にしてはいけない
・対象労働者にメールで通知を行い、そのメールに対する返信のない人を信任(賛成)したものとみなす方法は、一般的には、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないので、別途電話等による確認が必要

 

さらに、過半数代表者の選出については、従来から使用者側が指名するなど不適切な取扱いがみられることが問題となっていたため、36協定等の締結の際の適正を図るために、過半数代表者の要件として、「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」(改正労基則6条の2第1項)が明記され、2019年(平成31年)4月1日から施行されていますので、注意が必要です。

 

実際の選出方法は下記のように行うのが現実的でしょう。

①立候補者を募る

②A.立候補者がいた場合は、立候補者の投票

 B.立候補者がいない場合は、総務等担当部署が特定の人に

 打診または、推薦をし、その人を投票

立候補者が名乗り出れば、よいですが自ら立候補者として手を挙げるのを期待するのは、なかなか難しい会社が多いのではないでしょうか。。
したがって、会社が指名するのではなく、管理監督者ではない人に打診したり、推薦するのが現実的ではないでしょうか。

具体的には、下記のような内容をスケジュールを組んで進めていきます。

①過半数代表者を選出する趣旨等、立候補者を募るメールを対象「労働者」に送信(期限を設定)

②期限までに立候補者がいないため、(打診 or 推薦者の)労働者代表の信任を問うためのツール(この後説明)の使用&依頼メールを送付(期限を設定)

③期限時に過半数の信任があるか確認

④過半数の信任が足りていない場合は、リマインドメールを送信

⑤過半数の信任を確認し、労働者代表を決定

⑥労働者代表の決定について社内周知

⑦労働者代表へ役割等連絡

立候補者がいない前提ですが立候補者が名乗り出れば、立候補者の信任を問うことにします。

また、④で不信任が過半数の場合、やり直しとなってしまいますので、注意しましょう。
(ここはツールの使用、不使用とは関係ありませんが・・・)

 

無料ツールで何ができるか

前置きが長くなりましたがいよいよ無料ツールで何ができるか?です。

今回、「Questant(クエスタント)」というツールを使用します。

「マクロミル」が作ったアンケートツールです。

はじめにアンケートでよく使われる「Google Form」で出来ないかな、と思ったのですが下記の点で厳しいと判断しました。

・同じ人が何度も送信できる
・なりすましが可能

Googleアカウントのログインを必須にすれば、上記の問題もクリア出来そうですが会社で「G Suit(旧Google Workspace)」をメインに使っていればよいですがそうでない場合は、仕事でGoogleアカウントにログインするのもどうかな、ということ、また、そもそもGoogleアカウントを持っていない人もいる可能性があるかということで「Google Form」はあきらめました。

そこでアンケートツールをいろいろ見ていたら、「Questant(クエスタント)」は下記の設定が可能だったので、使ってみることにしました。

・cookieによる重複回答の防止
・特定のIPアドレスのみの回答を許可する設定

 

無料ツールの使い方

「Questant(クエスタント)」のURLは
以下となります。
https://questant.jp/

 

 

まず、会員登録からはじめます。

ユーザ名は英数字なら何でもよいようです。(電話番号等わかりやすいかもしれません。)

メールアドレス、パスワードを入力し、会員登録ボタンを押すとメールアドレスに仮登録メールが送信され、本登録するという流れです。

「無料プラン0円」の「お試しを選択する」ではなく、「選択する」をクリックします。

 

ちなみにプラン別の機能の詳細を見るとわかりますが無料プランの場合、結果をCSV形式でダウンロードができません。
結果は画面で確認し、結果のエビデンスは画面のハードコピーなどで残すしかないかもしれません。

会社名などを入力していくとアンケート作成画面になります。

 

 

まず、アンケートのタイトルを決めます。
「労働者代表の投票」など仮の名前を登録します。
あとで変更できます。

 

以下のようなテンプレートもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プライベートアンケートの投票アンケートを選択してみました。
(他のアンケートでもかまいません。)

投票アンケートの「作成する」をクリックします。

 

アンケートを作成していきます。
「投票アンケート」のテキスト部分をクリックすると編集可能になります。
また、左にある「タイトル」の「ペンアイコン」をクリックするとフォントや文字サイズ等も変更できます。
同様に「メッセージ」、「質問」なども変更していきます。

 

 

あくまでも例ですが下記のように入力してみました。

◆タイトル
「労働者代表の投票」

◆メッセージ
「すでにご案内いたいましたとおり、労働基準法により、「時間外・休日労働に関する協定書」等の締結の際に従業員の過半数の支持を得た「労働者の代表」を選ばなければなりません。そこで立候補者を募りましたが残念ながら、立候補者がいなかったため、総務部から●●●●さんを推薦いたします。下記のフォームから●●●●さんをご支持される方は、ご回答をお願いいたします。」

◆Q1
「あなたは、●●●●さんを労働者代表に信任しますか。」
「信任します」
「信任しません」

◆終了ページ
「ご協力ありがとうございました。」

 

 

既存の不要な質問は非表示や削除すれば、大丈夫です。

「アンケート完成」ボタンをクリックすると画面が変わり、URLが作成され、下記のようにポップアップがハイライトされるので、「次へ」で進めていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体の画面になったら、赤で囲んだ「アンケートへのアクセス設定はこちら」をクリックします。

 

下記を設定するポップアップがあがりますので、設定していきましょう。

・「1台のコンピュータから1回だけしか回答できなくする」(デフォルト)
・「開始ページでパスワード認証する」
・「IPアドレスで回答を制限する」
(特定のIPアドレスをブロックする/特定のIPアドレスのみ回答を許可する)
→「特定のIPアドレスのみ回答を許可する」を選択するとIPアドレスが入力可能となります。

 

「回答者を自分で集める」では、メール、QRコードなどで収集することができます。
URLを貼ったメールを送ってもよいと思います。

トップ画面に戻ると下段に作成したアンケートが表示されます。

 

作成後もアンケートの編集は可能です。
また、「ステータス」で「回収中」、「終了」を選べますので、期限後は投票できません。

少し見にくいですが「結果」画面はこのようになります。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

「Questant(クエスタント)」を使った感想としては、直感的に使用でき、マニュアルをみることもありませんでした。

この記事を見ながらなら、おそらく1時間もかからず、設定可能かを思います。

また、スケジュールの組み方にもよりますがツール使用の決定から、36協定の届出まで10日位で出来そうです。

「Questant(クエスタント)」を使った理由として、「cookieによる重複回答の防止」、「特定のIPアドレスのみの回答を許可する設定」をあげましたがこれで問題なければ、使用してもよいのではないでしょうか。

職場でのパソコンの使用率、ツールを使用する抵抗感がなければ、メールで行うより効率的に過半数代表者の選任ができることにより、年度末の貴重な時間が短縮できれば、幸いです。

使用する際は、テストで試してから実施してみてください。

 

〈関連リンク〉

参考 【押印・署名廃止、チェックボックス新設】36協定届変更【2021年(令和3年)4月から】社会保険労務士事務所ファインネクサス 参考 就業規則、36協定の本社一括届出【電子申請の届出事業場一覧ツール変更】社会保険労務士事務所ファインネクサス

 

2 COMMENTS

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP