健康保険のいわゆる保険証、正確には被保険者証について、「被保険者証の交付をするときは、事業主に送付しなければならない」と健康保険法施行規則に定められていますがコロナ禍でテレワークが進んだにも関わらず、社会保険の担当者が保険証を従業員に渡すために出社しなければならないことが問題視されていました。
そこで、2021年10月から、「ただし、保険者が支障がないと認めるときは、これを被保険者に送付することができる。」という一文が加わり、保険者から被保険者に直接送付されることが可能となりました。
この改正にあたり、Q&Aにより、具体的な取り扱いがが公開されています。
<被保険者証等の直接交付に関するQ&A>
Q1 「保険者が支障がないと認めるとき」とは、どのような状況を想定しているのか。
A 事務負担や費用、住所地情報の把握等を踏まえた円滑な直接交付事務の実現可能性や、関係者(保険者・事業主・被保険者)間での調整状況等を踏まえ、保険者が支障がないと認める状況を想定している。
Q5 テレワークの普及等に対応した事務の簡素化を図るため、被保険者証等の返納についても、事業主経由を省略してよいか。
A 省略できない。改正省令による改正後の健康保険法施行規則(大正 15 年内務省令第 36 号。以下「施行規則」という。)においても、被保険者が資格を喪失したとき、その保険者に変更があったとき、又はその被扶養者が異動したときは、事業主は遅滞なく被保険者証を回収して保険者に返納しなければならないこととされている。
Q6 被保険者証を直接交付する場合であっても、交付した旨を事業主に通知する必要があるか。
A 施行規則第 46 条において、厚生労働大臣又は健康保険組合は、被保険者の資格の取得の確認を行ったとき、又は事業所整理記号及び被保険者整理番号を変更したときは、遅滞なく、事業所整理記号及び被保険者整理番号を事業主に通知しなければならないとされているため、引き続き事業所整理記号及び被保険者整理番号を通知する必要はあるが、交付した旨の通知は必須ではない。また、事業主においても、通知された事業所整理記号及び被保険者整理番号を適切に管理することが必要である。
Q7 送付方法に制限等はあるか。
A 送付方法は、紛失リスク等を考慮した上で各保険者の実情に応じて適正に判断いただくこととなる。
◆健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行に関する留意事項等について (別紙Q&A)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210816S0030.pdf
2021年10月からは、マイナンバーカードが健康保険証として、利用できるようになりますので、下記の記事もご覧ください。
参考
【2021年10月から】マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります社会保険労務士事務所ファインネクサス
〈追記〉
協会けんぽ(保険者)の被保険者証等の交付の対応は、総合的に判断した結果、「現行どおり、事業主に送付する」ことになりました。
◆資料4 健康保険法施行規則の一部を改正する省令の施行についてhttps://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/direction/dai113kai/2021112609.pdf