iDeCoプラスって何?【2020年10月からの改正点も解説】

iDeCoプラスとは?

 

今回は、iDeCoプラスの法改正について、解説しますがiDeCoから簡単にご説明します。

そもそもiDeCoとは、国民年金や厚生年金とは違い、任意で加入する自分で作る年金です。加入者が毎月、一定の好きな金額を積み立て、好きな金融商品(定期預金、株式や債券など)で運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ることができる制度です。
個人型確定拠出年金(Individual-type Defined Contribution persion plan)とも言われます。2020年8月時点の加入者数は169万人です。

一方、企業が福利厚生で行う企業型の年金では、それまで主流だった適格退職年金や厚生年金基金といった確定給付年金にかわってアメリカの401kという制度を参考に確定拠出年金が作られました。両者の違いは、確定給付年金は、「給付(年金や一時金)」が「確定」している制度で確定拠出年金は、「拠出額(毎月積み立てる額)」が「確定」している制度となります。

給付額が確定している厚生年金基金等の制度は、景気の低迷等により、予定してた高い運用利回りを達成することができない場合は、企業が積立不足を穴埋めしなかければなりません。
負担を避けたい企業のニーズにより、自己責任で運用する確定拠出年金にシフトする傾向が強くなってきています。

iDeCoは個人型ですが「拠出額」が「確定」しているという意味では同じで自己責任で運用することになります。そこで、せっかく積み立てた掛金をリスクを負ってまで増やしたないというニーズもありますので、金融商品は、定期預金等の元本保証型の商品もあります。

前置きが長くなりましたがここからが本題でiDeCoプラスは、中小事業主掛金納付制度の愛称で2018年5月からスタートしました新しい制度です。個人型確定拠出年金であるiDeCoに事業主が掛金を「プラス」することができます。

 

iDeCoプラスの概要

 

【事業主要件】
企業型確定拠出年金、確定給付企業年金及び厚生年金基金を実施していない事業主であって、従業員(第一号厚生年金被保険者。以下同じ。)300人以下※の事業主。
ただし、同じ事業主が複数の事業所を経営している場合、全事業所の従業員の合計が300人以下であることが必要です。

※今回の改正点は、2020年10月に従業員要件が100人以下から300人以下に拡大された点です。

【拠出対象者】
iDeCoに加入している従業員のうち、事業主掛金を拠出されることに同意した加入者。
※拠出対象者に一定の資格(職種、勤続期間)を設けることも可能です。
※iDeCoに加入していない従業員に対して、加入を強制したり、事業主掛金のみを拠出したりすることはできません。

 

【掛金設定】
加入者掛金と事業主掛金の合計額は、月額5,000円以上23,000円以下の範囲で、加入者と事業主がそれぞれ1,000円単位で決定できます。
加入者掛金を0円とすることはできませんが、事業主掛金が加入者掛金を上回ることは可能です。また、一定の資格※ごとに掛金額を設定することも可能です。
※「資格」は、拠出対象者の一定の資格(職種、勤続期間)のほか、労働協約又は就業規則その他これらに準ずるものにおける給与及び退職金等の労働条件が異なるなど合理的な理由がある場合において区分する資格に限ります。

 

【納付方法】
加入者掛金と事業主掛金を事業主がとりまとめて納付します。

 

【労使合意】
事業主掛金を拠出する場合に、労働組合又は労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。
また、掛金額を変更する際にも同様の同意が必要です。

 

【手続き】
iDeCo+を実施する際は、労使合意後に必要な書類(「中小事業主掛金納付開始・終了届」等)を、国民年金基金連合会に提出します。

 

【税法上の取扱い】
① 加入者掛金:小規模企業共済等掛金控除として、全額を本人の所得から控除できます。(控除処理は事業主が行うため、加入者本人の手続きは不要です。)
② 事業主掛金:全額を損金に算入できます。