2020年トヨタのベア回答ゼロ

 

トヨタ自動車のベアゼロ回答

トヨタ自動車が基本給の底上げとなるベースアップ(ベア)をゼロと回答しました。
ベアゼロは、7年ぶりで労組は組合員平均で10,100円の賃上げを求めていましたが、賃上げ額は総額で8,600円、一時金は6.5か月の満額回答となりました。

労組は経営側の「ベアゼロ」の意向を察知し、人事評価に応じてベアを傾斜配分する制度の導入という異例の提案をしましたが受け入れられませんでした。

春闘のリード役だったトヨタの「ベアゼロ」が他社に影響を与えるのは、間違いないでしょう。経団連でも進めようとしている年功序列、終身雇用を柱とする日本型雇用制度の見直しと「ジョブ型」雇用への移行が進むといわれています。

ジョブ型雇用

「ジョブ型」雇用とは何かは、「メンバーシップ型」雇用と対比するとわかりやすいです。
「ジョブ型」雇用は、欧米で主流で簡単に表現すると「仕事に人を割り振る働き方」です。
一方、「メンバーシップ型」雇用は、「人に仕事を割り振る働き方」で年功序列、終身雇用といった日本型雇用制度になじむものです。ただし、豊田社長は、昨年の5月に終身雇用について、発言しています。

「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」

個人的には、「終身雇用の廃止」にばかり焦点があたってしまってますが危機感を共有するための従業員へのメッセージとも受け取れます。

人材獲得競争

近年、日本の大企業は人材の獲得競争では、データサイエンティストやAI技術者をはじめとする高度なIT人材を高額報酬によりGAFAなどの大手に奪われています。
若年層でも特別の職種のみ年俸1,000円以上の報酬を年功序列型の賃金体系では支払うことは厳しいため、別会社を設立して対応してます。

今後のCASEの動向

さらにCASE(C:Connected コネクテッド、A:Autonomous 自動運転、S:Shared&Services シェアリング&サービス、E:Electric 電気自動車)といういままでなかった言葉に象徴されるように現在は、100年に一度の自動車業界の変革期といわれています。

また、1月には、電気自動車大手のテスラの時価総額がフォルクスワーゲンを抜いて世界2位(1位はもちろんトヨタ)に踊り出たと報道されました。

EV(電気自動車)は、エンジンではなく、モーターを使用します。そのため、従来型のエンジン式の自動車より、部品点数が圧倒的に少なく、組み立ても容易で、新規参入がしやすく、「CASE」の高度な技術があれば、勝ち組にまわることが可能なのです。

最後に

最後に豊田章男社長のコメントを掲載します。
ベアゼロについて、
「応えることがみんなの幸せにつながるとは思えなかった。」
「これからの競争の厳しさを考えれば、既に高い水準にある賃金を引き上げ続けるべきではない。
高い水準の賃金を、このまま上げ続けることは、競争力を失うことになる。」