2023年3月18日発売開始のオフピーク定期券の新設が労務管理に及ぼす影響とは?

 

関東限定の話になりますがJR東日本は、コロナ禍により社会で高まっている3密回避や混雑緩和へのニーズを踏まえ、首都圏の平日朝のピーク時間帯以外の時間帯にのみ定期券として利用できる通常の通勤定期券より割安な「オフピーク定期券」サービスを2023年3月18日(土)より開始します。
あわせて、定期収入全体として増収とならない想定のもと、通常の通勤定期運賃を改定(値上げ)をします。

 

オフピーク定期券とは

「オフピーク定期券」は、平日朝のピーク時間帯以外の時間帯にのみ定期券として利用できる通常の通勤定期券より割安な Suica 通勤定期券です。
詳細や各駅のピーク時間帯などは、下記のサイトで確認でき、現行の通勤定期券に比べ約10%割安となるようです。

◆オフピーク定期
https://www.jreast.co.jp/offpeak_teiki/

 

また、「鉄道駅バリアフリー料金」についても、2023年3月18日(土)より設定し、収受した料金はバリアフリー設備の整備費に充当し、さらなる駅のバリアフリー化を進めるようです。

オフピーク定期券による値下げ(約10%)、通常の定期券の値上げ(1.4%)、バリアフリー料金の新設を図であらわすと下記のようになります。

(以下、上記サイトより引用)

 

 

ピーク時間帯は入場時に判定し、平日朝のピーク時間帯以外は、定期券として利用は可能です。

ピーク時間帯は駅によって、異なります。

 

 

自社の通勤コストはどうなるか?

率直に言いますと東京23区内の会社で始業時刻が9時前後の場合、利用が難しそうです。

オフピークの前で外すか、後ろで外すか、という問題がありますがオフピーク後に出社できたとしても、下記のような会社を除いて難しそうです。

・始業時刻が10時以降の飲食、サービス、小売業等

・フレックスタイム制の会社

 

オフピーク定期券を使用するためにオフピーク前に始業時刻を変更するのも、難しいでしょう。
未就学児を保育園に連れて行ったり、朝活を行っている人の反対にあいそうですし、そもそも始業時刻を早めることに賛成する人自体が少数かもしれません。

 

ただ、JR東日本の資料によると例えば、対象エリアの定期券を所持している社員数が200名の企業でJR区間の6か月分の定期運賃が1人平均67,980円の場合、全社員がオフピーク定期券を利用すると年間2,152,000円のコスト減となり、全社員が通常の定期券を利用すると年間948,000円のコスト増(年間差額310万円)となるそうです。

 

テレワークを利用し、出勤時のみ通勤交通費を支給し、定期代を支給しない会社も増えているようですが今後のテレワークの方向性もあわせて検討するのもよいかもしれません。

 

実務の注意点

オフピーク定期券でも通常の定期券でも料金の改定は、固定的賃金の変動となり、社会保険の随時改定の対象となります。社会保険は、かかった月分の交通費をその月(対象月)で算定するわけではなく、実際に支払った月が対象となりますので、3月に支給して、3、4、5月の平均の標準報酬月額等級が現在の等級と2等級以上の差があれば、6月の月額変更届の提出が必要です。オフピーク定期券を支給する方は、固定的賃金(通勤交通費)が下がるため、下がりの月額変更届の対象となることも気をつけた方がよいかもしれません。