前回お伝えしましたコロナ特例の月変届ですが本日は、実務的な手続きのお話をします。
前回分をご覧になっていない方は、下記リンクにてご確認ください。
特例の月額変更届の届出の流れをまとめています。
①自社が特例の月額変更届の条件に該当するか、確認する。
まず、算定基礎届は、7/1~7/10が提出期限で期限が差し迫っていますが今年(令和2年)は、コロナの影響で7/10の期限に間に合わなくても、受け付けるという文書が厚生労働省年金局から発出されています。算定基礎届を提出後に特例の月変届を提出する場合に算定基礎届の修正は不要という対応をしてくれる場合もあるようです。給与ソフト等の管理システムによっては、さかのぼって、等級の修正が出来ないケースもありますので、管理システムの仕様などに応じて、対応を検討しましょう。
健康保険組合についても、同様の対応となると思いますが特例の月変届の届出書が使用出来るか(健保組合の独自の届出書はないと思いますが…)、期限の確認は事前にされた方がよろしいかと思います。
また、「休業(時間単位を含む)があったこと」が条件になっています。在宅勤務などで休業しなくても、残業手当等が少なくなったため、2等級下がるようなケースは該当しないので、注意しましょう。
②会社で届出するか、方針を決定する。
手間がかかるという理由で会社で届け出ないということにしてしまうとあとで従業員とトラブルになる可能性を残し、割にあわないと考えます。
7月以降の給与計算や会計処理などにも影響する可能性があるので、社内で情報を共有する意味も含めて、会社で方針を決めてから作業を進めた方がよいでしょう。
③6月給与まで確定していれば、休業者の4、5、6月の給与が2等級以上該当していれるか、確認する。
今の時期であれば、少なくても6月の給与は確定しているでしょう。ただ、「従前の等級」と比較することになるので、4~7月のすべての月を6月の等級と比較するというわけではありません。例えば、4月の報酬で2等級以上下がっているか、どうかを比較するのは、4月の等級となるので、注意しましょう。
また、この特例は、複数回申請できません。例えば、4月に2等級下がっていても、5月に4等級下がっていたら、5月の報酬で改定した方がよいケースもあるかもしれません。(そこまで考えるとかなり複雑になりそうですが…)
④対象者分の同意書を作成する。
標準報酬月額が下がってしまうと傷病手当金や出産手当金、将来の年金受給額が下がってしまうため、特例の月変届を届け出る被保険者(従業員)から同意書をもらう必要があります。特例の月変届を届出の際に同意書の添付は不要ですが会社に保管しておきます。
年金機構のホームページに参考様式として、WordとPDF形式で掲載されています。Wordで差し込み印刷の設定をして作成するのがよいでしょう。
⑤制度の趣旨を対象者に案内し、あわせて同意書を渡す。
被保険者としては、内容がわからないケースもあるかと思われますので、制度の趣旨について、案内文とともに同意書を渡し、印鑑もしくは署名をもらいます。
⑥対象者分の特例の月額変更届と申立書(会社で1通)を作成する。
対象者の特例の月額変更届を作成します。
特例の月額変更届は、電子申請出来ないため、紙の届出書により作成しなければなりません。
ExcelとPDF形式で年金機構のホームページに掲載されていますが、PDF形式なら、手書きでExcel形式なら入力することが出来ます。
Excel形式で届出書を作成してみましたが一人ずつ、一項目ずつ入力していくのは、手間がかかり、入力のミスが発生する可能性も高まるため、別シートで入力したものを利用した方がよさそうです。
2等級の変動確認、生年月日の形式変更、特例の月額変更届へのデータ参照できる簡単なExcelファイルを作成しましたので、よろしかったら、下記にアクセスし、ダウンロードしてお使いください。
https://www.dropbox.com/sh/habnlvwxlkm4wr0/AABM_aeRkj39NXIjLcniROaTa?dl=0
右上の下矢印のアイコンをクリックするとファイルがダウンロードできます。
⑦回収した同意書を確認する。
報酬や変更月、本人の署名(印)などを確認します。
⑧管轄の年金事務所に対象者分の特例の月額変更届と申立書を郵送するか、届け出る。
特例の月変届の届出先は、事務センターではなく、管轄の年金事務所となっていますので、間違わないように気をつけましょう。
⑨給与ソフト等を使用している場合は、特例で下がった等級にマスタを修正する。
給与ソフトの管理システム等によっては、遡及して修正はできない場合もあるかもしれませんが、給与計算の社会保険料を適切に調整しましょう。
⑩通常の算定基礎届(定時決定)の作成をし、センターに郵送するか、電子申請で届け出る。
本来、特例の月変届の決定通知書が返送されるのを待って、算定基礎届を作成したいところですが、おそらく迅速に返送される可能性は低いため、決定通知書が返送される前に算定基礎届を作成しましょう。
通常の算定基礎届(今回、休業手当の支払いがあると少し難しくなりますが…)を作成の上、センターに紙か電子媒体(CD等)の届出書を郵送するか、電子申請により、届出します。
(e-Govによる電子申請が可能となりましたがエクセルファイルを添付するわけではなく、PDFやJPEG形式に変換して添付可というだけなので、あまり使い勝手はよくありません。)
以上、特例の月変届の手続きの流れとなります。
【追記】9/30に下記が延長・追加されていますので、あわせてご確認ください。