令和3年度の労働保険の年度更新の時期となりました。
5月下旬から申告書が労働局から郵送予定となっていて、6/1から申請受付がはじまります。
一年に一度の業務なので、忘れてしまっている人もいるかもしれませんし、例年と違う注意点(変更)、計算支援ツール、電子申請等についてもまとめましたので、ご確認されてはいかがでしょうか。
今年の<5つの注意点>
まず、今年の注意点は5つあります。
①事業主印が不要に
②保険料率変更なし
③申請期間の延長なし
④休業手当の労働保険対象賃金の算入
⑤高年齢労働者の免除措置の終了
【番外】納付の猶予
①事業主印が不要に
昨年までは申告書の「事業主」欄に記名押印または事業主自らの署名のいずれかが必要でしたが今回から不要となりました。
間違って押印してしまったり、社長がどうしても押印すると言って押印された申告書が受理されなかったり、無効になったりすることはありません。
また、領収済通知書(納付書)以外であれば訂正できますので、訂正後の数字(文字)がわかるように書き直せば、訂正印は不要です。
ただし、訂正された領収済通知書(納付書)を使用することはできませんので、必ず新しいものを使用してください。領収済通知書(納付書)は最寄りの労働基準監督署、労働局にありますが他の都道府県の領収済通知書(納付書)は使用できませんのでご注意ください。(申告書の書き方 Q7・8参照)
<令和2年度申告書>
<令和3年度申告書>
また、第三種特別加入(海外派遣)関連の申請書等も記名押印または事業主自らの署名の記載の必要がなくなってます。
②保険料率変更なし
令和3年度は労災保険料率、雇用保険料率、一般拠出金料率のいずれも変更はありません。保険料が変更する場合は、少し複雑になりますが今回は、特に意識せずに申告書を作成できます。
ご参考までに健康保険料などの一覧表は下記にまとめています。
参考
【令和3年度(2021年度)確定】料率まとめ一覧表【雇用保険・労災保険・健康保険・介護保険・子ども子育て拠出金】社会保険労務士事務所ファインネクサス
③申請期間の延長なし
今年の申告・納付の期間は、6/1(火)~7/12(月)です。
申告・納付の期間は、例年6/1~7/10(今年は、7/10が土曜日のため、7/12)です。昨年は、新型コロナウィルス感染症の影響で8/31まで延長されましたが今年は延長がない予定です。昨年、はじめて申告された方は、気をつけましょう。
④休業手当の労働保険対象賃金の算入
年度更新の期間において、新型コロナウィルス感染症の影響で事業所が休業となり、休業手当の支払いが行われた事業所もあったと思いますが休業手当は労働保険の対象の「賃金」となります。申告額が昨年と比べて大幅な減額となっている場合は、労働保険の対象から外れていないか等、給与計算システムの設定を確認するとよいかもしれません。
⑤高年齢労働者の免除措置の終了
令和元年度までは、64歳以上の高年齢労働者は、雇用保険料が免除されることになっていましたが令和2年度から免除措置が終了しています。今回の申告書から、高年齢労働者の賃金(確定分)を別途する必要がなくなります。高年齢被保険者を含めて、すべての被保険者の賃金を記載します。
<令和2年度申告書>
<令和3年度申告書>
【番外】納付の猶予
令和2年度の概算保険料等の納付が猶予されている会社は、下記を確認しましょう。
◆令和2年度に労働保険料等の特例猶予の許可を受けた事業主の皆様へ
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000777390.pdf
◆新型コロナウイルス感染症等の影響による労働保険料等の納付に係る猶予制度のお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10647.html
申告書計算支援ツール
毎年、厚生労働省では「年度更新申告書計算支援ツール」を作成しています。
(継続事業用・雇用保険用・建設事業用)
労働保険料の概算・確定計算を行うためのEXCELツールです。
月別に申告書のベースとなる算定基礎賃金の集計表を入力すると集計されます。
◆労働保険関係各種様式
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yousiki.html
◆年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用)https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/xls/shinkokukeisan_tool_keizoku_b_2021.xlsx
<算定基礎賃金集計表>
「申告書記入イメージ」シート、「(参考)e-Gov入力イメージ」シートに反映され、どの箇所に記入や入力すれば、一目でわかります。
ただし、このページを印刷して、申告することはできません。申告書を記入したり、e-GOVに入力する必要がありますので、注意しましょう。
〈申告書記入イメージ〉
〈e-Gov入力イメージ〉
給与計算システムでこういったイメージで出力できれば、不要ですが出力ができない場合は、便利かと思います。
電子申請について
令和2年の4月から資本金等が1憶円を超える法人等は、労働保険の年度更新等の手続きについて、電子申請が義務化されています。
◆令和2年4月から特定の法人について電子申請が義務化されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000658805.pdf
資本金等が1憶円を超える法人等でも決算月によっては、義務化対象外の法人もありましたが今回は例外なく、義務化対象となります。
電子証明書を取得していれば、e-Govから申請可能です。
さらに、今回から、GビズIDを利用した電子申請ができるようになりました。
GビズIDは電子証明書が不要です。
ただし、新型コロナウイルス感染症対策としての電子申請の需要増加に伴い、2021年3月15日現在、gBizIDプライムアカウントID発行までに3週間以上かかるようです。
GビズIDで申請する際は、余裕をもって、アカウントID発行しましょう。
申告書の書き方や電子申請等の詳細については、労働局からの郵送物や下記のページで確認しましょう。
動画やコールセンターもあります。
◆令和3年度労働保険の年度更新期間について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html
◆令和3年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/keizoku.html
◆労働保険関係手続の電子申請について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/denshi-shinsei.html