押印廃止後も引き続き押印が必要な書類のまとめ【社会保険・労働法】

法令等又は慣行による行政手続について、各府省は、「経済財政運営と改革の基本方針2020(令和2年7月17日閣議決定)」及び「規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)」に基づき、原則として全ての見直し対象手続について、規制改革推進会議が提示する基準に照らして順次、必要な検討を行い、オンライン化を行うこととされています。

新型コロナウィルス感染症の影響もあり、電子申請や押印や署名の廃止が加速化された一面もありますが、一部例外的に「オンライン化しない(オンライン化が適当ではない)行政手続き」や実務上押印や署名が廃止されていない手続きもあります

基本的に押印が不要になった旨の通達を都度、別記事に掲載していきました。

 

参考 【印鑑不要】押印・署名省略の取り扱いのまとめ【社会保険・労働基準関係】社会保険労務士事務所ファインネクサス

 

ただ、結局、どの書類に押印が必要なのか、必要ではないのか、わかりにくく、押印を省略して、提出したところ、実は例外的に押印が必要だったと聞くようになりました。

 

そこで、社会保険や労働法の押印が必要な申請書・届出書・請求書等を法律ごとに具体的に列挙することにします。
なお、この記事は、2021年6月15日現在の情報にもとづいて、作成しています。
内容の正確性等に対して、細心の注意を払って記載しますが一切を保障するものではなく、また、責任を負うものではありませんので、あらかじめご了承ください。

 

労働基準法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

基本的にありません。

 

【注意点】

労使協定には、注意しましょう。

例えば、使用者が労働者に時間外・休日労働をさせるためには、36協定を締結する必要があります。(36協定書

2021年4月以降の「36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)」に押印は不要となりましたが36協定書の押印が不要になったわけではありません。

今まで「36協定書」を締結して、別途「36協定届」を作成していた会社は少ないと考えられ、「36協定書」を兼ねた「36協定届」を作成し、押印をしていた会社は、下記のいずれかの対応となるでしょう。

36協定を締結の際に、
①「36協定書」に押印し、保管する。別途「36協定届」(押印不要)を作成し、届け出る。
②「36協定書」を兼ねた「36協定届」に押印し、届け出る。

 

参考 【押印・署名廃止、チェックボックス新設】36協定届変更【2021年(令和3年)4月から】社会保険労務士事務所ファインネクサス

 

労働安全衛生法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

基本的にありません。

 

労災保険法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

基本的にありません。

 

請求書等は、下記からダウンロード可能です。

◆労災保険給付関係請求書等ダウンロード
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

 

雇用保険法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

各労働局・ハローワークでリーフレットを発行しています。
東京労働局で発行しているリーフレットの内容は以下の通りです。

〈引き続き押印が必要となる届出〉

 

・雇用保険適用事業所設置届(裏面)【登録印】
・雇用保険事業主事業所各種変更届(裏面)【登録印】
・雇用保険被保険者被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届【選任代理人が使用する印鑑】
・各種届出における訂正印
・各届出時の委任状
・雇用保険適用事業所情報提供請求書
・雇用保険関係各種届書等再作成・再交付申請書
・雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書※1
・高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書※1
・育児休業給付金申請に係る前職からの賃金・勤務状況確認※2
・再就職手当支給申請書【事業主の証明】
・就職促進定着手当支給申請書【事業主の証明】
・常用就職支度手当支給申請書【事業主の証明】
・雇用状況等証明書【事業主の証明】
・採用証明書

 

※1事業主から届出される場合は押印不要
※2育児休業給付金受給中の被保険者が離職し、1日の空白もなく他の事業所で資格取得をしたうえで育児休業を継続した場合の前職における、賃金・勤務状況確認書類への前職事業主証明印は必要となります。

 

 

〈雇用保険関係の届出に係る押印見直しについて〉

◆東京労働局のリーフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/000887299.pdf

◆大阪労働局のリーフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-hellowork/content/contents/000811260.pdf

見比べるとわかるのですが、※の記載内容が少し異なるようですので、管轄の労働局の資料をご確認ください。

 

労働保険料徴収法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

・労働保険 保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書 兼 口座振替依頼書
・雇用保険印紙の消印に使用する認印の印影届書※

※日雇労働被保険者の場合、日雇労働者手帳に印紙を貼り、消印を押します。

 

健康保険法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

・健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書

 

さらに協会けんぽのホームページに記載する人ごとに必要な申請書が掲載されています。

 

押印の廃止について(各種申請書)

本人記載欄 事業主記載欄 医師記載欄 市区町村長記載欄 受取代理人欄 社労士記載欄 申請代行者欄
(委任欄)
1 療養費支給申請書(立替払い)(受領委任方式による柔整、はりきゅう、あんまマッ
サージ療養費は除く)
2 療養費支給申請書(治療用装具)
3 高額療養費支給申請書
4 高額医療費貸付金貸付申込書
5 年間の高額療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書
6 高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書
7 限度額適用認定申請書
8 限度額適用・標準負担額認定申請書
9 特定疾病療養受療証交付申請書
10 傷病手当金支給申請書
11 出産手当金支給申請書
12 出産育児一時金内払依頼書・差額申請書
13 出産育児一時金支給申請書
14 出産費貸付金貸付申込書
15 出産育児一時金にかかる被保険者資格喪失等証明書交付申請書
16 埋葬料(費)支給申請書
17 健康保険移送費支給申請書
18 負傷原因届
19 任意継続被保険者資格取得申出書
20 任意継続被保険者資格喪失申出書
21 任意継続被保険者資格取得申出・保険料納付遅延理由申出書
22 任意継続被保険者氏名 住所 性別 生年月日 電話番号変更(訂正)届
23 任意継続被保険者被扶養者(異動)届
24 任意継続被扶養者変更(訂正)届
25 任意継続被保険者資格取得・資格喪失等証明交付申請書
26 保険料預金口座振替依頼書・自動払込利用申込書
27 任意継続被保険者保険料口座振替・自動払込辞退(取消)届
28 健康保険料還付請求書
29 健康保険法第118条第1項該当・非該当届
30 被保険者証回収不能届(任継用)
31 被保険者証再交付申請書
32 高齢受給者証再交付申請書
33 高齢受給者証基準収入額適用申請書
34 医療費のお知らせ依頼書
35 第三者行為による傷病届

〇:押印を廃止するもの
X:押印を継続するもの

 

◆押印の廃止について(各種申請書)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/free/beppyou.pdf

 

厚生年金保険法

【押印が必要な申請書・届出書・請求書等】

日本年金機構のホームページに下記のとおり記載されています。

(※)引き続き押印が必要な届書は次のとおりです。
・国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書
・国民年金保険料口座振替辞退申出書
・委任状(年金分割の合意書請求用)
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
・健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書
・船員保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書
・健康保険・船員保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書(ゆうちょ銀行用)
・健康保険・厚生年金保険 保険料預金口座振替辞退(取消)通知書
・船員保険・厚生年金保険 保険料預金口座振替辞退(取消)通知書
・健康保険・船員保険・厚生年金保険 保険料預金口座振替辞退(取消)通知書(ゆうちょ銀行用)

 

◆令和2年12月25日より年金手続きの押印を原則廃止します
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202012/20201225.html

 

 

電子申請では印鑑にあたる電子証明書が必須?

労働法、社会保険の手続きの電子申請については、2020年4月から資本金等が1憶円以上の大企業について、義務化がスタートしました。そこで、政府は、e-Gov(電子政府の総合窓口)だけでなく、同時期にマイナポータル申請も使用できるようにし、電子申請の普及を図っています。e-Govの普及を阻害しているひとつの原因として、電子証明書が必要であることがあげられます。一方、マイナポータル申請では、GビスIDを使用して、電子証明書が不要としています。さらにややこしいのが、2020年11月からe-Govでも、GビスIDが使用できるようになったのですが、一部の手続きにとどまっているため、中途半端な状態です。また、同時期に健康保険組合の電子申請も開始しています。現状、2021年4月からは、36協定等の労働基準法関連の手続きについては、e-Govでも電子証明書が不要となりました。

 

〈電子申請を検討する上でのポイント〉
①e-Govで36協定等の労働基準法関連の手続きは電子証明書が不要。
②マイナポータル申請(GビスIDを使用し、電子証明書が不要)でできる手続きは、e-Govでできる手続きより圧倒的に少ない。
③事業規模により、紙と電子の二元管理による効率性や手続きが漏れるリスクを考えて、労務管理ツールを選定するのが効率的である。

 

③につきましては、電子申請を行っていなかったり、e-Govに直接、入力している会社は、社会保険の手続きの頻度により、専用の労務管理ツール(オフィスステーションやSmartHR等)の導入を検討するのも一考かと思います。

また、2020年11月から健康保険組合も電子申請が開始していて、各ベンダーの開発もすぐには対応できていなかったようですが直近の対応状況を厚生労働省で公表していますので、参考までにリンクを貼っておきます。

◆健康保険組合向け電子申請ソフトの対応状況について(令和3年5月14日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/000735946.pdf

 

まとめ

最後に押印の廃止により、押さえておきたいポイントをあげておきます。

押印廃止のポイント

・押印が不要な書類に押印しても問題なし

・旧書類のため、印鑑マークがあっても、押印不要な書類には押さなくても問題なし

・労使協定については、協定書を兼ねた協定届には要注意

・電子申請ではなく、紙による雇用保険関連の届出は要注意(訂正印含む)

 

ご担当者の方については、事業主欄の押印が不要=事業主の回覧が不要なのか等も含めて、確認しましょう。また、本人記載欄がある申請書等は、内容について、あとあと従業員とのトラブル(特に退職時)とならないように気をつけましょう。社内のワークフローや回覧ルールの見直し・明確化を検討されてはいかがでしょうか。

 

最後に内閣府の「書面規制、押印、対面規制の見直し・電子署名の活用促進について」のページからリンクを貼っておきます。

◆押印についてのQ&A(令和2年6月19日)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/document/200619document01.pdf

◆オンライン化しない(性質上オンライン化が適当でない)とされる行政手続(令和3年4月30日)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/document/210514document02.pdf

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