労働基準法の改正により、2019年4月から年に10日以上の有給休暇が発生する労働者(管理監督者や勤務日数によっては、パート等も含みます)に対して、年5日の有給休暇を取得させることが使用者の義務となりました。
もし、年5日の有給休暇を取得させなかったときは、労働基準法第39条違反として、罰則(30万円以下の罰金)の対象となります。
しかも、罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われることになっています。
有給休暇を付与してから、1年近くなって、こんなことはないでしょうか。
・5日取得していない人はいないかと時間はかかるがひとりひとりチェックする。
・有給休暇の取得をうながすと「取りたくても、取れない」と人不足を指摘される。
・さらに「休んだら、代わりに仕事してくれるの?」と怒り気味に言われることも…
今回、こういったお悩みを解消する方法をお伝えします。
幸せな年5日の有給休暇を取得する方法
年5日の有給休暇を適法に取得する方法を結論から申し上げますと、
全員、好きなときに10連休する
以上です。
こう書くと
有給休暇が10日しかない人もいるんだから、10連休したら、なくなってしまう、とか
そもそもそんな連休が取れるんだったら、苦労しない、とか
思う方もいらっしゃるかもしれませんが2分だけお付き合いいただけないでしょうか。
簡単な休暇の取り方
今回、お伝えする方法は、1日ずつ休んでトータルで年5日有給休暇を消化するという方法ではなく、5日連続で一気に消化するという方法になります。
はじめに下の表をご覧ください。
土日が休日の週休二日制の会社とします。
ここで2週目の月~金曜日を有給休暇として取得する予定を立てます。
実際に前週の土日、5連休後の土日をあわせると9連休になります。
最近は、月曜日にしている国民の祝日が多いです。
3週目の月曜日に国民の祝日がくるようなスケジュールをとると
10連休となります。
当然、国民の祝日がない週でもよいですが感覚的には、「10連休」は、「9連休」とは、インパクトが違うのではないでしょうか。
ちなみに先程、全員、好きなときに10連休する、と書きましたが当然、労働者間でうまくやすめるように調整はします。
10連休にするメリット
ここで、10連休にするメリットをあげたいと思います。
(10連休にこだわらなくてもよいですが・・・)
①罰則もある有給休暇の5日取得義務がクリアされる
②業務の効率化や生産性の向上につながる
③ブラックボックスだった業務が見える化される
④労働者のモチベーションがあがる
⑤離職率の低下や採用にも効果がある
それぞれ説明しますと、
①この記事の冒頭でも書きましたように会社として年に5日の有給休暇を取らせないと罰則もあり、なんとかしなければ、ということで有給休暇の取得状況をチェックしたり、休暇を促したりする必要がなくなります。
②そうは言っても、なかなか連休を取るのは難しいかもしれません。しかし、現状より、会議の削減・時間短縮をしたり、本質的に必要ではない業務を廃止したり、ツールの活用などまだやれることを会社全体で考え、行動するきっかけや見直しとなると考えています。
③「この仕事は、あの人しかわからない」といった業務がブラックボックス化していることはないでしょうか。休みの間に連絡を取ったり、気が気でないような状況をつくらないためにも業務のマニュアル化・共有化を推進することにも役立つのではないでしょうか。
④1年に1回、10連休があると働くモチベーションはあがるでしょう。旅行に行ったり、新たな趣味をはじめたり、スキル向上のために研修に行ったり、もしかしたら、10日間、「全く何もしない」もありかもしれません。お互い話のネタにもなります。
⑤会社をやめたいと思っても、10連休が毎年あると思いとどまることもありえるでしょう。また、制度を採用時にアピールすることもできますし、実際、友人にこういった制度を話してリファラル採用につながった例も聞きます。
どうしても10連休が難しい場合はどうすれば?
・うちの会社は、大企業じゃないし、中小企業でそんな簡単に休みは取れない
・理想論だけど現実にはそんなうまくいかない
・人件費が大幅に増えてしまう
などいろいろな声があがるかもしれません。
ただ、「出来ない」と言う前にお聞きしたいことがあります。
実際、「やってみまようとしてみましたか」
労働者に優しすぎると反論する前に先程、あげたメリットは、実は①~⑤全部会社のメリットです。
「出来ない」なら、どこが問題で何をクリアすれば、出来るのか、個人だけでなく、社内でみんなで考えてみませんか。
「業種的に10連休は難しいから、4連休、5連休からやってみよう。」
「全員が難しいなら、チームを3つに分けて、今年はAチーム、来年はBチームというように1チームずつやって出来ないだろうか。」
いろいろ工夫の余地はあるのではないでしょうか。
会社の雰囲気がよくなることも実感できるのではないでしょうか。
最後に労働者から発案しても、経営者からは断られがちなので、経営者から発案して、経営者手動で出来れば、スムーズに出来ると思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
【参考】
◆年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説(厚生労働省リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf