令和4年6月末までとされていた雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金、休業支援金等の特例措置が9月末まで延長される予定が発表されました。
◆令和4年7月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/r407cohotokurei_00001.html
◆別紙
https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000944645.pdf
◆令和4年7月以降の小学校休業等対応助成金・支援金の内容等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25972.html
◆別紙 小学校休業等対応助成金・支援金の改正内容
https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/000944982.pdf
業況特例を利用されている事業所の今後の注意点について、まとめます。
①最新の平均賃金はコロナ前から下がっていないか
今までは、コロナ前の賃金※を平均賃金として使用することができましたが今後は最新の賃金を使用するように見直されます。
※平成30年度(平成30年4月~平成31年3月)の確定保険料の申告に使用した賃金を使用している事業所が多いと思われます。
令和4年4月以降の変更については、下記をご参照ください。
参考
【雇用調整助成金】令和4年4月以降の申請方法の大幅変更予定社会保険労務士事務所ファインネクサス
令和3年度で100%の休業手当を支給していない場合(休業手当は労働保険の計算対象の賃金に該当)や時間外手当が少なくなっていた場合などは、最新の賃金(令和3年4月~令和4年3月)がコロナ前の賃金より低額となると助成金に使用される平均賃金が低額となり、助成金自体も低額となる可能性があります。
例えば、コロナ前の平均賃金が15,000円を超えていれば、今までは雇用調整助成金の業況特例で日額の上限は15,000円ですが令和3年度の労働保険の年度更新で計算した平均賃金(コロナ後)が15,000円を上回っていなければ、上限の15,000円の受給ができなくなるケースが考えられます。
変更のタイミングは、「令和3年度確定保険料申告書の受理以降の最初の申請から」(所得税の領収書を使用していた場合は、令和4年6月1日以降の最初の申請から)となっていますので、注意が必要です。
②3年前の売上と比較して70%未満となるか
業況特例は、判定基礎期間の初日の月、その前月、その前々月の生産指標(主に売上)の合計と前年か前々年か3年前の生産指標の同期の合計を比較して、30%以上減少した場合に該当します。
令和4年4月以降は、要件が変わり、毎月の判定基礎期間ごとに30%以上減少を確認することになりました。
直近で、売上が右肩上がりになっているようなケースでは、過去と比較した売上等が30%以上の減少とならなければ、業況特例に該当しなくなります。
原則的な特例措置と業況特例では、支給率、上限額が異なりますので、注意が必要です
例えば、中小企業の場合、業況特例から原則的な特例措置になると支給率10/10が9/10(解雇がない場合)となり、一日の上限額15,000円が9,000円になってしまいます。
業況特例で受給できる前提で休業を実施していたにもかかわらず、業況特例に該当しなくなり、あとで受給額が少なくなった、とならないように注意しましょう。
③最後に
①については、令和3年度の労働保険の年度更新の平均賃金が下がるか、15,000円を超えるか、事前に確認するのがよいでしょう。
また、労働保険の年度更新をできるだけ遅くすることで新しい平均賃金が適用される時期も遅くなります。助成金の額が下がるケースでは、年度更新の時期と助成金の申請時期を考慮した方がよいかもしれません。
②については、事前にシミュレーションをしながら、休業を検討することをおすすめします。